なぜ、我々は物事を先延ばしにするのか

皆さんは立命館大学の名物である”以学館(体育館)ダッシュ”というものをご存知でしょうか。
レポート提出最終日の締め切りギリギリの時間に、多くの学生が提出先にダッシュするそうです。

それはもう花道まで作って。
以下に動画を載せておきます。 
※現在はオンラインでの提出になっているようです。

https://www.youtube.com/embed/kQhutlCiLWg?rel=0&start=157

さて、ぎりぎりにレポートを提出してくるということは、もし締め切りが1日早かったらこの学生たちは提出に間に合わないのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
おそらく早くなった締め切りに間に合うようにレポートを仕上げてくるでしょう。
要するに、学生たちは締め切りギリギリになるまでレポート完成を先延ばしにしてしまうのです。

これは学生に限った話ではありません。会社員の方もプレゼンの準備や資料作成をギリギリまで先延ばしにしていませんか?
主婦の方も家事を後でやろうと先延ばしにしていませんか?

人間というものは面白いことに締め切りの直前になると慌てて物事に取り組もうとします。

その”物事を先延ばしにして締め切り間際で一気に片そう”とする人間の心理や考え方をTEDでプレゼンしたのが人気ブログWait But Why(待って、だけど何で?)の筆者ティム・アーバン(Tim Urban)氏です。

Transcript of "先延ばし魔の頭の中はどうなっているか" TED Talk Subtitles and Transcript: ティム・アーバンは先延ばしが理にかなっていないのは分 www.ted.com

ティム・アーバン氏によると、先延ばしにする人の頭の中は次のようになっているそうです。

先延ばしする人の脳内

「理性的な意思決定者(Rational Decision-Maker)」「目先の楽しみを優先するお猿さん」がいるのです。
お猿さんは意思決定者がなにか生産的なことをしようと舵を切ると、それを邪魔して方向を変えてしまいます。

あー、、あるある。勉強しようと机に向かったのにいつの間にかYouTube見てるんですよね。

しかし、このお猿さんの邪魔もずっとは続きません。
時間が経つにつれて近づいてくるとある存在のおかげで、お猿さんは逃げて行くのです。
その存在とは「パニックモンスター」です。

パニックモンスターが現れた脳内

パニックモンスターは締め切りが近づいてくると目を覚まし、お猿さんを追払うことで、意思決定者が舵を取ることができるようにするのです。
このシステムがうまく稼働することで、我々は締め切りギリギリでもなんとか物事を終わらせることができるのです。

さて、なんとなく物事を先延ばしにしてしまう仕組みがわかってきましたね。

ここで、私自身が実践している物事をギリギリまで先延ばしにしないための2つの方法を少しご紹介しようと思います。

1.締め切りは2つ作る
はて、どういうことか。
例えば、レポートの締め切りが2週間後にあるとします。皆さんはいつからこのレポートに着手しますでしょうか。今日から?1週間前から?それとも締め切り前日?
この着手するという時間に締め切りを設けるのです。
始めてしまえばなんてことはない。ただ、始めるまでが辛いのです。

2.バッファを設ける
ここでのバッファとは「余裕」「ゆとり」といった意味です。
ビジネスシーンではよく使われますよね。何か想定外のことが起きたときのためにゆとりを持たせて計画をするのです。
本来の締め切りまでのおしりに少し余裕を持たせて、自分の中での締め切りを少し早めてしまうのです。そうすることで本当にギリギリという事態は回避できます。

この方法を使えばパニックモンスターが早めに起きてくれるかもしれませんね。

さて、ティム・アーバン氏のお話の続きに戻りましょう。
パニックモンスターが現れれば、人はなんとか締め切りまでに物事を終わらせることができるのです。

しかし、パニックモンスターが現れないことがあります。
それは、”締め切りのないタスク”の場合です。

起業的な仕事や、仕事以外の物事には締め切りがないことが多いですよね。
こういった明確な締め切りがない物事ではパニックモンスターはなかなか現れてくれないのです。
私の周りにもダイエットしようダイエットしようと言ってはいますが、明確な締め切りがないためいつまでも先延ばし続けている人がいます。

本当に恐いのは”締め切りがなく長期的に先延ばしにしてしまう物事”なのです。

■締め切りがあるもの → いつかはパニックモンスターが現れて実施する
■締め切りがないもの → パニックモンスターが現れず、長期的に先延ばし

ティム・アーバン氏はTEDでの最後に「ライフカレンダー」という人生90年の各週をボックスにしたイラストを見せます。

改めて見るとそんなにボックスの数が多いわけでもありません。
人生全体で考えると終わりはどんどん近づいてきています。

人生100年時代とは言われていますが、歳をとるにつれて体力的にも精神的にもやれることの幅は徐々に狭まってくるでしょう。
何を先延ばしにしているのか。本当に締め切りはないのか。今一度考えてみてはいかがでしょう。

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